オプション手口 分析レポート β版 完成!
日経225オプション 6月限 SQ予測レポート
私が毎日作成している「海外勢オプション手口」と「オプション 建玉(オープンインタレスト)」、さらに私の経験則を文書化したものをベースに、SQ値をシナリオ別に予測分析し、その予測レポートのβ版が完成しました!
手口分析はあくまで限られたデータなので、現時点での特に機関投資家の動きから思惑を予想しようというものです。
チャート分析、決算やEPSといったファンダメンタルズに加えて、需給分析の1つとして参考にできるのではないかと考えています。
もう少しブラッシュアップし、この完全版の資料は「みんなの投資ラボ」で週2回程度作成していこうと考えています。※毎日だと作成カロリー高いので・・・
また大きな動きがあった場合は、不定期でSubstackの記事としても出していきますね!
オプション 6月限 SQ予測レポート
作成日: 2026-05-14 対象限月: 6月限(2026-06) SQ日: 2026-06-12(残29日) 観測期間: 2026-05-08(前回SQ) 〜 2026-05-13
0. データサマリーと前提
使用データ
OIスナップショット: 2スナップ(観測期間始点 0508と最新 0513)。0511・0512は補助参照、メイン分析は始点と終点で実施
オプション手口: あり(4営業日分: 05_08, 05_11, 05_12, 05_13)。主要13ブローカー × 4セッション
先物手口: あり(日経ラージ/ミニ/TOPIX)
経済イベント: 残期間中 4件(米雇用統計、米CPI、FOMC、日銀)— SQ前にイベント集中
観測期間中の地合い
原資産推移: ATM基準値 63,000(0508) → 63,000(0513)。表面的にはほぼ横ばいだが、途中 62,500(0512)まで下げて切り返した「Vパターン」
期間中の特徴: 5/11以降にプット建玉が急増(特に55,000〜58,000ゾーンの遠OTM)、機関投資家のヘッジ厚みが構築された週
1. 現状把握サマリー(先に結論)
指標 値 コメント
────────────────────────────────────────────────────
総 Call OI 54,064 観測期間で +3,782 増
総 Put OI 37,981 観測期間で +8,568 急増 ★プット買い主導
Put/Call OI Ratio 0.703 0508の0.585から大幅上昇
Max Pain(生値) 58,000 ディープOTM引っ張られ、実用性低い
Max Pain(近傍補正±3000) 60,000 実用目線。0508と変わらず安定
最大 Call OI 集中 65,000 5,248枚(+533)上方の最強壁
最大 Put OI 集中 56,000 4,863枚(+1,998)下方の最大保険
要旨: 価格は同水準に戻ったが、内部では「下方ヘッジの大量積み増し(55-58k帯)」と「上方コールの維持・微増」が同時進行。Max Pain補正値60,000は据え置きで、機関の重心レンジは 60,000–63,000 にハマっている形。
2. OI構造分析(時系列)
2-1. 期間サマリー比較
Date ATM MaxPain(raw) MP補正値 TotalC TotalP PCR
────────────────────────────────────────────────────
20260508 63,000 58,000 60,000 50,282 29,413 0.585
20260513 63,000 58,000 60,000 54,064 37,981 0.703
Δ ±0 ±0 ±0 +3,782 +8,568 +0.118
2-2. 行使価格別 OI 累計変化(0508 → 0513)
主要増加(CALL)
68,000: +1,087 → 上方カバードコール売り。65k壁の上に二段構え
71,000: +801 → 遠OTMコール売り(深OTMライターの収益取り)
65,000: +533 → 最強壁の補強
70,000: +416 → 上方ヘッジ/コール売り
63,625: +414 → ATM近傍コール売り(マーケットメイクの可能性)
67,000: +391 → 上方壁の延長
72,000: +330 → ファーOTMコール売り
主要増加(PUT)
56,000: +1,998 → ★最大の増加。深OTMプット買い(テールヘッジ)
58,000: +1,900 → 下方ヘッジ集中ゾーンの主軸
57,000: +885 → 下方保険の積み増し
61,000: +748 → ATM近傍プット買い(高い下方ヘッジ感度)
59,000: +671 → プット買いの厚み
58,500: +659 → 125円刻みの集中
54,000: +353 → 深OTMテールヘッジ
61,500: +344 → ATM近傍
59,625: +240 → クライアントブロックの可能性
2-3. ローリングダウンの軌跡
期間中の プット買い集中位置の重心 は、低位帯への裾野拡大が顕著:
0508時点:60,000帯がプット最厚(テール薄い)
0513時点:56,000–58,000帯に新規プット買いが集中、56,000が最大OIに躍り出る
解釈: 「現値から-7,000円〜-9,000円」の深OTMテールヘッジを大量に積み上げている。これは個別株急落ヘッジというより、マクロイベント(FOMC・CPI・雇用統計集中期)の前のショート・ガンマ・プロテクションの典型パターン。価格が動いていない(横ばい)にもかかわらずヘッジ需要だけが急増しているのが特徴。
一方、コール側の軌跡 は安定。65,000の最強壁を据えたまま、上に68,000・70,000の小さな段を追加しているのみ。「上方への抜けは想定していないが、保険として薄く売り取りもしている」というスタンスの読み。
2-4. 主要行使価格マップ
🛡 上方の壁
★★★ 65,000: 5,248枚 → 最強壁、ATM+2,000円、まずここで止まる(コール売り集中)
★★ 62,000: 3,811枚 → ATM近傍。OI厚いが両面性あり
★★ 63,000: 2,775枚 → 直上のATM近傍。短期上値抵抗
★★ 68,000: 2,631枚 → 二段目の壁。65k突破時の次のライン
★ 70,000: 1,645枚 → テール、上振れシナリオの天井
🛟 下方の保険
★★★ 56,000: 4,863枚 → 最大保険。深OTMテールヘッジ、今週急増した「合意水準」
★★★ 57,000: 4,625枚 → 56kとセットの保険帯
★★★ 55,000: 4,609枚 → サポート、心理的ライン
★★★ 58,000: 4,310枚 → 直近サポート、「絶対割らせたくない」ライン
★★ 54,000: 3,575枚 → 深テール、急落シナリオ
★★ 53,000: 3,502枚 → 極端テール、クラッシュ・プロテクション
★★ 59,000: 2,611枚 → 浅め保険、弱気シナリオの第一段
★ 60,000: 2,235枚 → 一次防衛、Max Pain補正値
3. 機関投資家フロー分析(手口データ)
3-1. JNETでの大型PUTブロック取引
JNET(場外相対取引)は機関投資家のヘッジ買いが集中するチャネル。観測期間中の主要ブロック取引:
日付 セッション 主参加者 行使価格 枚数 備考
────────────────────────────────────────────────────
05_08 デイJNET シティ 63,375 PUT 914 ATM直上、SQ朝ヘッジ
05_08 デイJNET シティ 63,250 PUT 900 連続ロット
05_08 デイJNET BNPパリバ 63,000 PUT 350 ATMジャストでのプット買い
05_08 デイJNET アムロ+三菱UFJ 62,500 PUT 200 軽量、ローテーション
05_11 デイJNET BNP+アムロ+JPM 63,000 PUT 800 ★3社協調ATMロール
05_13 デイJNET BofA+ソシエテ+BNP+UBS 64,000 PUT 600 ★★4社合意ロールアップ
解釈:
① シティの初動 — 05_08(前回SQ日)に914+900=1,814枚のプットを63,250–63,375ストライクで一気に積んだ。プライムブローカー経由のクライアント・ブロックの可能性が高く、誰かが「ATM直上で大型のダウンサイド・プロテクションを設定した」シグナル。
② ロールアップの軌跡 — 63,250–63,375(0508) → 63,000(0511) → 64,000(0513)。プット買いの権利行使価格がATM水準にじわじわ追随、最終的に ATM+1,000円程度のプットへロールアップ された。これは「下値リスクを継続ヘッジしつつ、価格上昇とともに保険水準も引き上げた」典型パターンで、当該機関が 下方リスクをまだ警戒している ことを示す。
③ 複数機関の合意 — 05_13の64,000プット取引には BofA・ソシエテ・BNP・UBS が同時参加。複数の海外プライムブローカーが同じ行使価格・同セッションで動いているのは「クライアント側で共通のヘッジ・テーマがある」ことの示唆。SQまでの29日間に、市場参加者が「63,000–64,000ライン割れリスク」を真剣に見ていると読める。
3-2. 参加者別キャラクター
シティ: 0508に大型単発(合計1,814枚) → クライアントブロック仲介、SQ起点でのヘッジ設定
BNPパリバ: 0508・0511・0513全てに出現 → 継続フロー、最も活発な海外勢の一角
BofA: 0513に300枚 → 直近で急浮上、上方プット保険の主幹事
アムロ: 0508・0511 → 一貫したダウンサイドヘッジ買い手
JPモルガン: 0511のみ200枚 → 単発参加、追随系
ソシエテ: 0513に100枚 → 0513の協調取引のサブメンバー
UBS: 0513に100枚 → 0513の協調取引のサブメンバー
3-3. 期間中のフロー総括
期間4営業日で確認できたJNETの主要ブロック取引は6本、累計約3,750枚(PUT中心)。プット買いがJNETの主役で、特に 05_13の4社協調買い はSQ予測の方向性を強く規定する。海外プライムブローカーが連動しているということは、背後にいるアセットマネージャーやヘッジファンドが 「6月SQまでに下値リスクを再保険したい」 とほぼ同時に判断したことを意味する。
4. 経済イベントカレンダー(残期間中)
日付 イベント 影響度
────────────────────────────────────────────────────
2026-06-05(金) 米雇用統計(5月分NFP) 高
2026-06-10(水) 米CPI(5月分) ★最高(SQ前2営業日)
2026-06-12(金) 6月限SQ算出日 ─
2026-06-15-16 日銀金融政策決定会合 中(SQ後)
2026-06-16-17 FOMC(ドットプロット更新) ★最高(SQ後)
想定される影響:
6/5 米雇用統計: 雇用堅調なら利下げ織り込み後退で日本株上値重く、悪化なら利下げ催促で株高
6/10 米CPI: FOMC直前のCPI、サプライズ次第でドル円・株式とも大きく動く
6/15-16 日銀: SQ後だが、月内の方向感に影響。利上げ示唆なら円高・株安
6/16-17 FOMC: SQ後だが、SQ通過後の月内反発/失速を決定づける
イベント絡みの注意点:
SQ前1週間(6/5・6/10)に米国の最重要マクロ指標が連続。6/10の米CPIはSQ直前2営業日前 にあたり、サプライズが出るとSQ朝までボラが残ったまま着地する展開がありえる。これは、観測されている 深OTMプット買い(55-58k帯) の急増と整合的:機関投資家は「CPI後のSQまでの2営業日に下落リスクがある」と織り込んで保険を厚くしている。一方、FOMCと日銀会合はいずれもSQ後なので、SQ算出値そのものへの影響は限定的(ただしSQ翌週の波乱要因として残る)。
5. SQ予測シナリオ
シナリオ別確率分布
シナリオ 確率 着地レンジ 根拠
────────────────────────────────────────────────────★メイン 50% 61,500 〜 63,500 MP60kとATM63kの中間、65k壁と61.5k保険の挟まれ
強気 20% 63,500 〜 65,000 CPI下振れ+雇用統計悪化→利下げ期待、65k壁試し
弱気 18% 59,500 〜 61,500 CPI上振れで利下げ後退、61k直近プットゾーン
上振れ 5% 65,000超 65k壁ブレイク→68k二段目壁試し
急落 7% 59,000割れ 58kプット集中帯試し、地政学ショック等
メインシナリオの詳細
メインレンジ 61,500–63,500(中央値 62,500)の根拠:
① 構造的引力 — Max Pain補正値60,000とATM63,000の中間に重心がある。コール売り側(65k)の最大利得、プット売り側(58-60k)の保険発動回避、双方が両立する帯。
② 手口の追認 — 05_13の4社協調買いが64,000プットで成立 → 機関は「64,000をやや下回る水準への着地」を想定している(プット買いは下方ヘッジ=着地が64,000を下回ることに賭けるトレード)。
③ OIの密度 — 61,500(プット1,290枚)・62,000(プット996枚+コール3,811枚)・63,000(コール2,775枚)のクラスタがこのレンジ内に集中。ガンマピン効果で動きにくい。
④ イベントとの整合 — CPI(6/10)でサプライズが出てもこのレンジ内に収まる範囲のスイング想定。残2営業日でレンジ外へブレイクする確率は限定的。
上ブレ・下ブレの非対称性
上ブレ確率 25%(強気+上振れ) vs 下ブレ確率 25%(弱気+急落):表面上は対称
ただし テール厚みは下方が圧倒的に厚い(55-58k帯のプット集計 17,372枚 vs 上方68-72k帯のコール 6,000枚程度)。これは「下方は深く保険が積まれているのでクラッシュしてもガンマヘッジで止まる」ことを意味する一方、「上方は遠OTMコールが薄く、もし65kを抜けると次の壁まで一気に上振れる可能性」も示唆する
機関のスタンスは 「下値リスクは入念にカバー、上値は無防備で素直に追随する」 という非対称構造
6. 監視ポイント(今後の観察項目)
65,000コールが6,000枚超 → 上値壁さらに強化、強気シナリオ確率を10ポイント引き下げ
60,000プットが3,000枚到達 → 「ここまでは絶対割らせない」合意ライン上方シフト
BofAやBNPパリバが65,000以上のPUTを買い始める → プット保険ロールアップ進行、下方ヘッジ更新シグナル
6/10 米CPI 前年比+0.3%以上のサプライズ → 急落シナリオ確率を上方修正、弱気レンジ59-61.5kがメインに
シティが再度大型ブロックで動く → クライアント急変の可能性、要警戒
6/5 米雇用統計の結果 → NFP+150kを上回れば現状維持、それ未満なら強気側にシフト
7. 結論
6月限SQの中心予想は 61,500–63,500(中央値 62,500)、確率50%。Max Pain補正値60,000とATM63,000の中間、コール最強壁65,000とプット集中保険58-61k帯の挟まれゾーンに引力がある。機関投資家は観測期間中に深OTMプット(55-58k帯+1,998〜+1,900枚)を急速に積み増しており、下方リスクへの警戒は高い。
ただし手口JNETでの最新(05_13)ロールアップ先は64,000プットなので、機関の「最悪想定」は64,000をやや下回る水準。
SQ前2営業日に米CPI(6/10)、5営業日前に米雇用統計(6/5)と最重要マクロが集中 しており、これがSQ着地を最終的に決める。
CPI上振れなら弱気側(59-61.5k)、下振れなら強気側(63.5-65k)にシフトする想定。現時点では「62,500を中心とした±1,000円レンジでの着地」を最有力としつつ、6/10 CPI待ち が結論。
8. 前回レポートとの差分
前回レポート未作成のため、本レポートが初版。次回(6月限SQ後)に7月限レポートを生成する際、本レポートの予測精度を検証する。
補足: 本分析の限界
建玉は予想ではなくポジション: 投機・ヘッジ・合成が混在。プット買いの増加は必ずしも下落予想を意味せず、上昇トレンドへの保険でもありうる
OIスナップショット数の制約: 本レポートは観測期間始点(0508)と最新(0513)の2点比較がメイン。中間日(0511, 0512)の細かなダイナミクスは補助参照のみ
手口データの方向性不明: 出来高データは買/売を区別しない。本レポートでは文脈(JNET集中、ロールアップ軌跡、価格動向)から「プット買い」と推定しているが断定ではない
イベントリスク: 想定外のニュース(地政学・要人発言・突発的経済指標)でシナリオは塗り替わる。特に 6/10米CPI はSQ着地を大きく動かしうる
ATM±数千円の補足範囲: 行使価格125円刻みの観測は ATM±2,500円程度。それより遠方は500円刻みの粗い集計
本レポートは情報提供を目的としており、投資判断は読者各位の責任で行われるものとする。
9. ぜひ「みんなの投資ラボ」もチェックを!
今回のレポート、フル版の配信は「みんなの投資ラボ」でメンバーの方にお届けしようと思っています。
ぜひこちらもチェックしてみてください。
https://yoor.jp/door/minLabo


